2016年11月26日土曜日

PGConf.ASIAで探るPostgreSQLの未来

PostgreSQLはどこへ向かっているのでしょうか

PGConf.ASIA 2016には、コミュニティ活動全体に責任を持つコアチームメンバー3名、技術的な責任を持つコミッタ7名と、コミュニティの主要メンバが集まる予定で、PostgreSQLの未来を考える場になっているのではないかと思います。そこで、PGConf.ASIAで、より深くPostgreSQLの未来を知るためのヒントを解説していきたいと思います。

PGConf.ASIAでは、PostgreSQLコミュニティ運営の重要な事項が議論される開発者会議がDay0(12/1)の午前中に開催されます。これは、コミュニティ主宰の会議で、これまで、北米のオタワ、ヨーロッパのブリュッセルで開催されていたもので、今回、アジアで初めて、東京で開催されます。残念ながら主要開発者のみの招待制の会議ですが、Wikiに議事録が公開されますので、どのような議論がされたのか、後日、確認できます。

Day0(12/1)の午後には、PostgreSQLの開発者によるUnconferenceを予定しており、開発中の機能、今後実装される新機能に関する議論や周辺ツールの提案など、様々な技術的な議論がアンカンファレンス形式で熱く交わされます。今後PostgreSQLの開発に参加してみたい、PostgreSQLのモジュールを作成したい、PostgreSQLの周辺ツールの開発をしている、PostgreSQLをForkして新しいプロダクトを作ってみたいという方にとっては、主要開発者と直接議論できる貴重な機会ですので、参加を検討すると良いと思います。

カンファレンスでの主要開発者の講演も見逃せません。講演では、必ず、今後の開発のヒントが隠されているはずです。今回の発表者のうち開発者は、PostgreSQLコミュニティの第一人者であるBruce Momjian氏、9.6の新機能紹介をする澤田雅彦氏、Tomas Vondra氏、パラレルクエリを開発したAmit Kapila氏、バックアップのMagnus Hagande氏、PostgreSQLのクラスタのSimon Riggs 氏、外部ツールでは、PGAdminのDave Page氏、PGPool-IIの石井達夫氏と長田 悠吾氏In-Database解析の海外 浩平氏があげられます。

いかがでしたでしょうか?
PGConf.ASIAでは、普段聞くことのできない開発者の講演を直接、同時通訳付きで聞くことができるだけでなく、Unconferenceコーヒブレーク、ソーシャルイベントなどで、PostgreSQL開発者と交流する機会があります。会場で直接PostgreSQLの未来を聞いてみるのはいかがでしょうか?

2016年11月20日日曜日

PGConf.AISA 2016の歩き方

PGConf.ASIAは、PostgreSQL生誕20周年を記念して、12月2日、12月3日の日程で、東京、秋葉原で開催される、アジア最大のPostgreSQLカンファレンスです。このカンファレンスはユーザ、開発者、企業と様々なバックグラウンドの発表者が世界9ヵ国から集まっていて、発表内容も、新機能、周辺ツール、事例の紹介などバラエティに富んでいて、どの発表を聞いていいか、迷ってしまいまうかもしれません。そんなあなたに、これから、「PGConf.ASIA歩き方」と題して、解説をしてみたいと思います。

PostgreSQLの最新機能の情報を入手するには、有力開発者の澤田雅彦氏による新機能紹介やTomas Vondra氏の性能向上の紹介がおすすめです。さらにPostgreSQLの内部構造に興味がある方は、コミッタのAmit Kapila氏によるパラレルクエリの紹介や早水 悠登氏によるオプティマイザの解説がよいでしょう。

PostgreSQLの周辺ツールに目を向けると、コアメンバでもあるDave Page氏によるPGAdminの新バージョンの紹介、同じくコアメンバのMagnus Hagande氏によるバックアップの最新事情の解説、日本のユーザコミュニティの立上げメンバ、コミッタでもある石井達夫氏と長田 悠吾氏のPGPool-IIの紹介や須藤 功平氏のPGroongaの紹介があります。

PostgreSQLの現在そして未来を感じるには、PostgreSQLコミュニティの第一人者であるBruce Momjianの講演でNoSQLとの戦いと適合、コミッタのSimon Riggs 氏によるPostgreSQLのクラスタ化によるレプリケーションやシャーディング、海外 浩平氏による、PL/CUDAによるIn-Database解析など現在開発中の機能についてウォッチしてみてください。

PostgreSQLの利用動向や商用製品と比較した強みや弱みを掴むには、PostgreSQLのサポートや製品化を行っている日立の稲垣 毅氏や富士通の山本 明範氏と樋口 大輔氏の講演が良いでしょう。その上で、現在お使いの商用DBMSからOSSに乗り換えを考てみようと思った方には、 Venkata B N氏のマイグレーションの実際が参考になると思います。

圧倒されるのが、中国の大規模事例で、Xu Zhongqing氏のWeChatペイメント、 萧少聪氏のAliyunへの適用事例やVictor Blomqvist氏のスマホアプリTantanといった講演で、課金システムや高負荷なシステムにおいても、いよいよ普及期になったことが実感できると思います。日本でも、丹治 邦夫氏と石井 愛弓氏の中国電力におけるスマートメータ管理システムへの適用も、引けを取りません。

PostgreSQLの開発や多くのイベントはコミュニティ活動として行われており、最古のオープンソースソフトウェアコミュニティの一つです。Peter van Hardenberg氏は、20年の長きにわたって存続してきたPostgreSQLコミュニティの歴史をひも解いてくれます。更に高瀬 洋子氏によるヨーロッパのコミュニティの紹介を聞くことで、今のコミュニティの状況をより深く理解できるでしょう。コミュニティの活動に興味を持たれた方は、カンファレンスやソーシャルイベントを通じて、コミュニティの実践者である、発表者、スタッフ、参加者に声をかけてみてください。コミュニティ活動の第一歩となると思います。